用語集
業界用語はどんなところにでもあるもので、その業界に入ってはその業界の言葉を使っていく必要があります。最初のうちは慣れないかもしれませんが、この用語がわかってくるとエンジニアリングの成果も出しやすくなることは間違いありません。このページでは、社内で使われている用語のうち、新人がわからない可能性のある不動産業界並びにSaaS業界の用語を解説します。
不動産業界用語
アクイジ
「アクイジション」の略。投資用不動産や土地(物件)の取得(仕入れ)のことをいいます。
ディスポジ
「ディスポジション」の略。仕入れた物件を売却することをいいます。
物件概要書
売買される物件(土地など)の情報を記載したもの。体裁については法律などの定めはないが、住所地や価格、面積、建物がある場合は構造についてが記載されている。
コンプス
売買対象と類似した物件のことを指す。売買を検討する際に、対象となる物件の価値を相対的にはかるために使われる。
重要事項説明書
不動産取引の契約において重要事項を契約者に説明するための書類。宅地建物や土地だけでなく、保険や委託、建築契約など多岐にわたる範囲において必要となり、契約内容に応じて内容も変化する。
確定測量図
土地には「境界」が決められており、境界によって道路や隣の土地との線引きを明確にする。境界には「境界杭」が埋められている。「確定測量図」があるということは隣地や行政立ち合いのもとで確定された境界をもつことを意味する。逆に、確定測量図がない場合はその土地の境界は曖昧であり、そうした土地の取引は後々になって隣地の地権者とトラブルになるリスクがある。
建ぺい率
敷地面積に対して、建物を建てることができる割合(=建築面積)を示す。建築面積は敷地を真上から見下ろした状態に対する面積を指す。建ぺい率は法律で規制があり、用途地域によってそれぞれ建ぺい率の制限が設定されている。
容積率
敷地面積に対する延べ床面積の割合を示す。つまり、土地に対して何階建ての建物を建てることができるのかということを定めるもの。
消化容積概要書
物件の概要に加え、3次元的な形態制限や敷地配置、建物の平面図が記載された書類。対象となる土地に「最大でどのような形、階数の建物が立つのか」を示す。
登記
不動産の権利(所有権、抵当権、賃借権など)についての事柄を法務局の登記簿に記載すること。このことによって、土地や建物の所有を保証し、第三者に証明・主張することができる。
登記簿謄本
不動産に関する登記情報が記載された書類。過去の権利の推移なども含め、その不動産に関しての所在・所有者の情報が記載されており、これらの情報は誰でも閲覧することができるようになっている。
既存建物図面
取引対象の土地に建物が立っている場合の、建物の形状やと敷地との位置関係を示した図面。
固定資産税評価
総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて、市町村長が決定する評価額の事。固定資産税の評価であり、売買される物件価格とは異なる。
収益還元法
不動産の価値を算定する際に、その不動産が将来生み出すと期待される収益を踏まえて不動産価格を決める手法の事。
直接還元法
不動産の価値を算定する際に、1年間を通してその不動産から得られる収益を還元利回りで除算して算出する手法の事。
DCF還元法
不動産の価値を算定する際に、その不動産が将来生み出すであろう収益を複数期間に分けて現在価値に換算し、それらの現在価値の合算値を資産価格として算出する手法。
DCFシミュレーション
DCF還元法に基づいて複数期間にわたってどのような収益が生み出されうるのかを模擬的に算出したもの。
ボリューム図面
容積率を満たす最大の大きさで建物を建てたらどうなるかを示す図面。
キャップレート
不動産の期待利回りの事。例えば年間1億円の収益が期待できる物件のキャップレートが5%だとすると、その不動産は20億円と評価される。
不動産特定共同事業法・不特法
複数の投資家から資金を募り、その出資金を使って不動産を取得・運用・売却して得られた収益を配当する事業の仕組みを定めた法律。
匿名組合(TK)
当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる契約。匿名組合の「匿名」というのは、不動産登記に出資者の名前が載らずほかの出資者が誰なのかを知ることができないことから。
任意組合(NK)
不動産共同投資事業のなかで、民法に基づく任意組合を結成して行う方式のこと。出資された財産は組合員の共有財産になり、組合員は共有持ち分権を購入して、収益の分配を受ける。権利としては不動産を所有していることと同じであり、不動産登記には投資家の名前が載る。
投資事業有限責任組合(LPS)
「投資事業有限責任組合に関する法律」に定める投資事業有限責任組合契約に基づき、複数当事者間で組成される組合。任意組合では出資者の責任が無限責任になることから、借り入れを用いた事業運営がやりづらいことから誕生したスキーム。
有限責任事業組合(LLP)
出資者の責任限度を、出資額とする組合。いわゆる合同会社(LLC)との違いは法人格のあるなし。LLPには法人格がないため、組合構成員それぞれに直接課税が行くため、LLPの分配益と組合員が別の事業で発生した損益を通算できる点がメリット。
信託受益権
資産(この文脈では不動産)を信託銀行などに信託し、その資産から発生する経済的利益を受け取る権利を示す。この権利は取引することが可能で、不動産の流動性を高める。
AM
Asset Management(資産管理)の事。収益物件を投資家の代わりに運営管理し、資産価値を上げる活動を行うこと。
BM
Building Management(建物管理)の事。建物の清掃、設備点検、景観管理、警備巡回などを行い、建物の資産価値を維持する活動の事。
FM
Facility Management(ファシリティマネジメント)の略。不動産の活用方法から企画立案して、管理活用を通じて収益を上げることを目的とした活動。
PM
Property Management(プロパティマネジメント)の略。不動産経営を代行する空室募集業務や契約締結、クレーム対応、賃料回収などを所有者の代わりに行う事業者の事。
RM
Relationship Management(リレーションシップマネジメント)の略。見込み顧客との関係を管理する業務やその担当者を指す。
CA
Confidential Agreement(守秘義務誓約書)の略。投資不動産の購入にあたって、賃貸借契約の内容や建物の情報を所有者や仲介から情報開示を受ける際に締結する契約。
PEPs
Politically Exposed Personsの略。不動産売買においては、犯罪収益移転防止法に基づいて重要な公人(特に外国の)などに該当するかどうかを確認することをPEPs(ペップス)確認などと呼ぶ。
仲介
売主と買主の間に立ち、双方の契約をさせること、あるいはその役割を担う人・会社の事。仲介を担う者は、売主に代わって買主を探したり、売買契約に必要な書類の作成や重要事項説明等の手続きを代行します。
売主
不動産物件を所有しており、それを売りに出す人・法人の事。または、文脈によっては売買契約における買い側を指す場合もある。
上物(うわもの)
土地の上に建っている建物の事。不動産(特に土地)の広告などで「上物あり」という記載がある場合は、何らかの建物(家屋)が存在することを示す。
デベロッパー
不動産開発業者の事。土地や建物を改築・建築して価値を高め、賃貸や売買で収益を上げる事業を行う。宅地建物取引業者免許がなければ営むことができない。
ゼネコン
建設工事を請け負う業者の事。General Contractorから。ゼネコンは工事を受注して、建物を完成させて発注者に引き渡すまでを担う。
サブコン
ゼネコンから設備関連の工事を請け負う業者の事。工事に際して必要になる仮設物や電気工事や空調、消防設備などジャンルごとに様々な専門業者が存在する。
旗竿地
細い路地(敷地)で道路に接しているような形の土地の事。
再建築不可
建て替え・増改築工事が出来ない不動産の事。接道義務を果たせない敷地などがこれに該当する。該当する物件は不動産取引においては重要事項説明で必ず「再建築不可」であることを明記する必要がある。
基準地価
都道府県が公示する「基準地」の価格。全国に3万点の基準地が存在し、毎年それぞれに対して鑑定を行い価格を定めている。
路線価
ある公道にの路線に面する宅地1平方メートル当たりの価格を示したもの。相続財産評価や固定資産税の評価で利用される。
地価公示価格
国土交通省が地域の標準的な地点を選定し、その価格を公表したもの。
インカムゲイン
資産(この文脈では不動産)を所有することで得られる金銭的利益の事。不動産の賃貸料などが該当する。
キャピタルゲイン
資産(この文脈では不動産)の価格変動に伴って得られる金銭的利益の事。所有する不動産の取得価格と売却価格の差益を指す。
キャッシュフロー
企業のある会計期間における現金の出入り状況を示す。Cash Flow Statementのことを指し、略称としてCSやC/Sと表記されることもある。
表面利回り
投資対象物件の価格に対する年間収益(賃貸収入)の割合の事。物件を維持するための費用などを考慮しない数値をいう。
リーシング
商業不動産の賃貸を支援する業務の事。賃貸借取引の仲介やテナント構成、それらの賃貸条件の設計を行い、所有者の賃貸収益を確保するためのサービスを行う業者、もしくはその事業をいう。
ホールセール
法人や大規模な事業者向けのコンサルティングや仲介事業の事。
リテール
個人や小規模な事業者向けの不動産の購入や売却、それに伴うコンサルティング事業をやる会社の事。
接道義務
建築基準法において、敷地は原則として道路と2m以上の長さで接していなければならないと定められた基準。
地番
土地登記簿に記載される土地の番号の事。
筆
土地を数えるときの単位。登記簿には「筆(ひつ)」単位で掲載される。「一筆(いっぴつ)」「二筆(にひつ)」と数える。
合筆
がっぴつ。複数の土地(筆)をひとつにまとめる事。
分筆
ぶんぴつ。一筆の土地を複数に分ける事。
ポートフォリオ
資産配分の事。投資家が保有する投資資産全体のことを示す。
用途地域
その土地に建築できる建物の用途が定められている地域の事。「住居系」「商業系」「工業系」に大別される。
REINS
不動産流通機構が運営するシステムの事。指定流通機構の会員である不動産会社がアクセスでき、不動産情報の流通が行われる。
検査済証
建築工事が完了した建物について、建築主は工事完了検査を行わなければならない。この工事完了検査に合格したことを証明するものが検査済証。
建築確認済証
建築確認で問題ないことが確認されたときに交付される書類。
更地
建物が存在しない土地の事。
前面道路
敷地に面した道路の事。複数の道路に面する土地の場合、接する距離が長い方のことを示す。
底地
借地権が設定されている土地の事。そのような土地の所有権を指して底地権と呼ぶ。
抵当権
債務者が所有する不動産を、債権者の担保として設定する担保権の事。債務者が債権を弁済できない場合、債権者は抵当権に基づいて担保である不動産を競売にかけ、その代金をもって債権の弁済に充てることができる。
根抵当権
債務者が所有する不動産について、その限度額を定め、その範囲内で継続的に融資を受けるために設定される抵当権を示す。
レバレッジ
他人資本を使うことで、自己資本よりも高い利益を狙う事。他人資本とはわかりやすく言うと借金の事で、借金の金利よりも自己資金+借金で運用した際の利益が大きければその分リターンを増やすことができる。
ベーシスポイント
0.01%の事。50ベーシスポイントは0.5%を示す。
オンバランス
この文脈においては、不動産が貸借対照用(バランスシート)に記載されているという事を示す。
オフバランス
オンバランスの逆、すなわち、不動産が貸借対照表に記載されないという事を示す。
トグルレジデンス
toggle holdings(フジケン)が取得した用地に建てる賃貸マンションのこと。またはその仕様を指す。
バックファイナンス
自己資金で不動産を購入したのち、購入した不動産を担保に融資を受ける方法の事。
日影規制
「日影による中高層の建築物の制限」の略、ある建物が周囲に落とす日影の時間に関する規制の事。
天空率
建物に遮られずに空が見える割合。
レンタブル比
延床面積に占める収益部分の面積比率のこと。「賃貸可能な面積(収益部分)」 ÷ 「延べ床面積」 × 100
SaaS業界用語
ホリゾンタルSaaS
業種に関係なく、特定の業務に使われるSaaSの事。例えば会計や人事などはどのような業種業態であっても必要となる機能を提供するもの。
バーティカルSaaS
特定の業種の業務に特化したSaaSの事。特定の業界に特化している分ホリゾンタルSaaSよりも対象となる企業は絞られるが、それらの企業にとっては必須の機能(や、あった方がより業務効率が上がる機能)を担うことが多い。
TAM・SAM・SOM
TAM:あるSaaS事業が獲得できる可能性のある市場全体の規模
SAM:TAMのうち、あるSaaS事業が獲得しうる最大の規模
SOM:SAMのうち、あるSaaS事業が実際にリーチできる顧客の規模
ROI
費用対効果の事。SaaSを利用する顧客にとって「SaaSから得られるメリット > SaaSに支払う費用」でなければSaaSを導入する意味がないため、顧客にとってはSaaSを使い続けるかどうかの重要な判断基準となる。
SMB
Small and Mid-size Businessの略。中小企業のことを指す。
エンタープライズ
SMBとは逆に、大手企業のことを指す。
MRR・ARR
MRR:Monthly Recurring Revenue の略で「月次経常収益」を示す。毎月繰り返し得られる収益の事。
ARR:MRR * 12した値の事。年間経常収益を指す。
ACV
Annual Contract Value(年間契約額)の事。いち顧客当たりが支払う年間の料金(収益)を示す。
SQL
Sales Qualified Leads(セールス出来る見込み顧客)の事。
MQL
Marketing Qualified Leads(マーケティングで見いだされた見込み顧客)の事。
SDR
Sales Development Repの略。インサイドセールスの担当者。主にインバウンド(問い合わせ対応)を主体としたセールス業務を担うロールの事。
BDR
Business Development Repの略。インサイドセールスの担当者。主にアウトバウンド(新規開拓)を主体としたセールスを担うロールの事。
インサイドセールス
見込み顧客に訪問せず、電話やメールなどで営業することを示す。企業によっては商談アポイントメントの獲得までを行うロールのことを指すこともある。
フィールドセールス
見込み顧客に訪問し、商談を行い契約のクロージングまでを実施するロールを指す。
カスタマーサクセス
顧客になった企業が、継続的に製品・サービスを利用してもらえるようにする=LTVを最大化させる活動を担うロールの事。
セルフサーブ
顧客自身でSaaSの契約判断や導入を進められる製品・サービスの事。Zoom等はその典型例。
ARPA
Average Revenue per Accountの略。1アカウントあたりの平均売上を指す。
ARPPU
Average Revenue Per paid Userの略。課金ユーザーあたりの平均売上を指す。
エクスパンション、アップセル、クロスセル
アップセル:同じサービスでも上位のプランに切り替えるなど、顧客単価を上げる事。
クロスセル:違うサービスを新規に契約してもらうことで顧客単価を上げる事。
エクスパンション:アップセル、クロスセルによって発生した収益増加の事。
レベニューチャーン
「収益ベースでの解約」を示す。顧客単位での解約ではなく、あくまで収益全体を見た値のこと。
ネガティブチャーン
レベニューチャーンがマイナスの状態、すなわち既存顧客によるアップグレードによる売上成長を示す。
NRR
Net Revenue RetentionまたはNet Retention Rateの略で、売上継続率を示す。売上継続率とは、既存顧客の売上を前年比で維持、向上できているかを示す指標。NRRが100%を超えている場合、既存顧客の売上だけで次年度の成長が作れているという事を示す。
リードジェネレーション
自社サービスを知らない人を対象に、見込み顧客になってもらう活動のことを指す。WebサイトやSNS、広告出稿などの手段を用いて自社の顧客となりうる企業の連絡先を獲得するなどが具体例。
CAC
Customer Acquisition Costの略。ある顧客を獲得するのにかかった費用の事。
ペイバックピリオド
顧客獲得にかかった費用を回収するまでの期間。
LTV
Life Time Valueの略。ある顧客が、顧客である間にどれだけのサービス利用をして利益をもたらしてくれるかを示す。
NPS
Net Promoter Scoreの略。顧客が、利用する製品を他人に勧めるかどうかという質問に対する回答を0 - 10の11段階で行ってもらい、全体に占める10~9までの「推奨者」の割合から、6以下の「批判者」の割合を引いた数値。
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